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 平均飛距離を伸ばす  

Vol.09 1999.10.22発行

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●飛距離とは(Vol.04の復習)

Vol.04で、平均飛距離が190ヤードあれば、理論的にはシングルになれるというお話をしましたが、覚えていますでしょうか。以下、Vol.04からの抜粋です。

「当たれば280ヤードだが、チョロや天ぷらで、120ヤードの事も多く、平均200ヤードではとてもシングルにはなれないでしょう。そういう意味では、最高に当たった時に260ヤード飛ぶスイングや、真芯に当たったら260ヤード飛ぶクラブより、多少飛距離は落ちても安定して220ヤード飛ぶスイングや、芯を2センチメートルくらいはずしても200ヤードは飛ぶクラブを選んだ方が、間違いなくスコアアップにつながるでしょう。」

●平均飛距離を決める要因

プロとアマチュアの大きな違いは、「スイートスポットに当たる確率」と言っも過言ではありません。アマチュアは、プロのようにたくさん練習するわけでもありませんし、バラツキを小さくする心がけは必要ですが、「バラツキが大きいのはしかたがない。」と、ある程度あきらめることも大切です。

バラツキを小さくする方法としては、

  • (1)バックスイングを小さくする。
  • (2)体の色々な部分をなるべく動かさない。
  • (3)短いクラブを使う。

等が挙げられます。どうでしょう、すべて飛距離を小さくする方向ではないでしょうか。でもよく考えてみて下さい。ドライバーでチョロしたり、トップしたりし、50ヤードも飛ばない人が、第2打をフェアウエイウッドやアイアンで160ヤード以上も飛ばす光景をよく見かけませんか?時によっては、飛ばない方向の施策で、飛びを狙う、という勇気も必要かもしれません。

ドライバーに限らず、バラツキの大きいアマチュアを救ってくれるのは、スイートエリアの広さです。(私もよく、「広いスイートスポット」という表現を使ってしまうことがあるのですが、物理的には「スポット」は点であり、点が広いという表現は好ましくいないので、今回は「スイートエリア」と表現させていただきます。)

スイートエリアが広いクラブというのは、ヘッドの慣性モーメントが大きいクラブだと言えます。厳密にはヘッドにはシャフトがくっついているので、ヘッド単独での慣性モーメントの議論だけでは片手落ちですが、今の段階ではヘッドのみの議論とさせていただきます。

●全体重量が同じで、大きさも同じ場合、重量配分が均一だと慣性モーメントが小さい。従って、ヘッドはスイートスポットはずれたボールの衝撃により回転し、衝撃も大きくなる。空洞でない木製クラブなどは、これに近い。 ●ヘッド材質を比重の大きい物に変え、重量配分を周辺に集めると、慣性モーメントが大きくなり、芯をはずしてもボールによるヘッドの回転が 小さいので、衝撃も少ない。スイートエリアが広いクラブとは、こういう事を言う。

●スイートスポットとは何か?

スイートエリアが何なのかというお話の前に、スイートスポットについて、考えてみたいと思います。

スイートスポットとは

【定義1】「ボールを打った時に手がしびれない(ショックが小さい点)」

 ・・・・・的は得ているのですが、あまり物理的ではありません。

【定義2】「重心から伸ばした線がフェイスでつりあう点」
【定義3】「重心からフェイス面に垂直にひいた線が交わった点」

 ・・・・・間違ってはいませんが、正確ではありません。

「手がしびれない」という意味は、ボールがヘッドに当たった時の手に伝わるショックが小さいということです。手がしびれる、ショックがあるというのは、ボールによってヘッドが回転または振動し、その衝撃がシャフトを伝わって手に届くという意味です。逆に言えば、ボールがあたった衝撃によってヘッドが回転運動を起こさなければ、スイートスポットをとらえたという事になるわけです。

ボールがフェイスに垂直に当たり、垂直に離れていくモデルであれば、上記【定義2】【定義3】も正しいのですが、当たった瞬間と離れる瞬間では、1万分の5秒の時間差があり、その間にヘッドは2センチメートル程度移動し、ボールはつぶれ、スピンがかかる訳ですから、そう簡単には説明できないでしょう。私は次の様に定義します。

【定義4】ボールが一番つぶれている瞬間にボールとヘッドが作用し合う力の方向の延長線上に重心がある場合、その点をスイートスポットと言う。

たとえば、球体は中心に重心がありますから、中心から伸ばした線はすべての表面でつりあうし、その表面に対し垂直です。つまり、【定義2】【定義3】に当てはめると、球体の場合はすべての表面がスイートスポットという事になってしまいます。しかし、ビリヤードでボールを打つ時、端の方を打てばボールは回転し、下の方を打てばバックスピンがかかるという様、に打つキューの方向の延長線上に重心がない場合は、ボールが回転する=スイートスポットをはずしている、ということになるのです。

ヘッドを考えた場合、実はスイートスポットは一つではないのです。【定義2】【定義3】の点でボールを打っても、ボールの当たる角度がフェイスに垂直でない場合、ボールが当たった衝撃でヘッドは回転運動を起こします。インパクトの軌道がずれている場合や、ロフトがあるクラブの場合は、まさにこういう現象が起きているのです。

●スイートエリアの定義

さて、平均飛距離を伸ばす話に戻りますが、「スイートエリア」という言葉は、とても曖昧です。もしこれをきちんと定義してしまうと、メーカー間の性能の差が、数値ではっきりと表されてしまうので、曖昧にしておくのがよいのかもしれませんが、慣性モーメントについてはデータが一部公開されているようですので、参考にされるとよいと思います。(詳細は次号で)

この慣性モーメントで、ある程度のスイートエリアの広さを知ることができるでしょう。アマチュアがクラブを選ぶ時には、「スイートスポットに当たった時の飛距離を100として、90%の飛距離が期待できるフェイスの面積。」という様な新しい統一的な指標を作っていただけるとありがたいと思います。もちろん、ヘッドスピード、軌道、ボール、スピン等のパラメータが多すぎて、メーカー間の比較が公正にできるようには、なかなかならないとは思いますが・・・。


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