toppage
ゴルフは理論!HPへ

■ グリップ考 ■(号外)

号外Vol.05 1999.09.03発行

いよいよ新学期も始まり、スポーツの秋 になりました。今回はグリップ考と題して、グリップに関するお話をしたいと思います。また前回の野球の重い球と軽い球について、貴重なご意見をたくさんいただきましたので、一部ご紹介したいと思います。

●よいグリップの形と悪いグリップの形

よく「あなたのグリップは悪い」とか、「こうしなくてはいけない」とか言う人がいますが、基本的には、「よいグリップの決まった形」「悪いグリップの形」というのはないと考えています。ただ、「標準的なグリップの形」や「その人にとって、よりよいであろうグリップの形」というものは存在すると思います。もちろん形でなく、「握りの強さ」については別途議論があるところでしょう。

そもそも、グリップとは何かと言えば、腕の力や動きをクラブに伝えるものであると言えます。クラブがどのように動けばよいか、これは何回もお話していますように、フェイスのスイートスポットにボールが当たり、かつその軌道とフェイス面が目標線に向いている、しかもヘッドスピードが早い方がよい。これにつきる訳です。また、特にアマチュアの場合は、そのバラツキが小さい、またはバラツキが大きくてもそれなりのボールが打てることが、スコアアップの秘訣です。この目的を達成するのにふさわしいグリップこそ、「よいグリップ」なのです。決して形にこだわる事はありません。人によって違うはずですから。

●グリップの重要性

今までに、グリップをいじった事がある方も多いと思います。超フックグリップ(右手で言えば、ドアのノブを右にひねった状態で持つ形、言い替えれば右手の人差し指から小指の爪が上を向いている形)の人が、標準的なグリップ(右手で言えば、親指と人差し指の間のVの字が、右の頬あたりを向いている)に変えようとすると、まずひどい違和感で、バックスイングすらまともにできなくなることもあります。

ここまで極端ではなくても、ほんの少しグリップを変えただけで、全体のスイングバランスが変わったり、球筋が変わったりもするものです。それだけに、グリップは重要であり、逆に言えば始めた時にきちんとした指導を受けていないと、直すのにものすごい苦労を強いられることにもなりかねません。ボールが曲がる、当たらないという原因が、グリップにあることも少なくなく、もし、あなたがグリップを直そうと思っているのなら、よほどの覚悟をして新しいグリップに慣れる必要があります。またコースに出る直前やコース中では、グリップをいじらない方が無難だと私は思っています。

■右手のグリップ

●標準的グリップ。人差し指と親指の間にVの字ができ、右頬方向を 向いている。親指は腹で押さえず人差し指の付け根とではさむ感じ。 ●フックグリップ1。ストロンググリップとも言う。親指が真上に来ており、指の腹でクラブを押さ えている。手首が返りやすいので、フックしやすい。 ●フックグリップ2。親指の位置は標準に近いが、深く握り過ぎていて 親指と人差し指の間が開いている。野球に近い。 ●スライスグリップ。ウィークグリップとも言う。手を絞りすぎている。ヘッドを返しにくい ためスライスが出やすい。引っかけたくない時によい。

■左手のグリップ

●フックグリップ。最近推奨されている形。体とクラブに一体感ができ、 スイング中のフェイスの開きを抑えられる。フェイスの向きが安定する ため、逆に引っかけ(チーピン)が減るとも言われている。 ●標準的グリップ。もう少し親指が真上に来ている形をスクエアと言って いる場合もある。Vの字の向きは右頬と教えるプロも多い。この形に近い グリップの人は、大きな問題がない限りそのままでもよい。 ●スライスグリップ。スイング中にフェイスが開きやすく、スライスが 出やすい。スライスが出る人、長尺に変えた人は、左手をフックグリップ に変える事で球筋を改善できることも多い。

●最近のグリップの傾向

最近は、フックグリップがよいとされる傾向にあります。またハンマー 打法という新しい理論も出てきているようです。確かに、長尺化や道具 の進歩に合わせて、ウッズやデュバルでなくとも、フックグリップの方 がよいという事も事実あるでしょう。しかし、だからと言って、今すぐ 標準的グリップをフックグリップにすればよいかといえば、そういう問 題でもないように思います。問題がグリップにあれば、修正するのがよ いでしょうけれど、もしもっと大きな問題が他にあるのなら、まずそち らに手をつけた方がよいでしょう。

●再び「よいグリップ」とは何か

よいグリップとは、まっすぐ遠くへ安定して飛ばすための方法論です。そういう意味では、どんな形でもよいとは思いますが、99%のプロのグリップは、野球や剣道の様に握っていない事を考えると、標準的なグリップが、結局はより多くの人にとって安定して体の力をうまく目的的に伝える方法論になっているのだろうと思います。

私は今までに何回か、はじめてクラブを握る人を見ました。何も教えずクラブを持ってもらうと、ほとんどの人が野球の様な握りをします。右手の小指を左手の人差し指にロックしたり、重ねたりする人はまずいません。また両方の親指と人差し指の間のVの字が顔の方を向く標準的なグリップをする人もまずいません。

おそらく静的にアドレス状態でクラブを握る場合、それが一番楽なのだろうと思います。しかし、そのままでスイングをすると、とても窮屈な格好になったり、うまく振れないと思います。ところがそのグリップを直さずにそのまま何とかしてボールを打てるようにしてしまったら、安定した軌道のスイングができず、球筋もスライスが出たりフックが出たりという結果になってしまいます。こういう人 は、思い切ってグリップをまずは「標準的グリップ」に修正した方がよいでしょう。

絶対的なグリップはないと思いますが、皆さんはグリップについて、どの様に考えていますでしょうか。

●重い球と軽い球に関する「読者の声」

【30代男性Sさん】

野球のピッチャーが投げる球の重さは、球の回転が多いか少ないかで決まると以前解説者が言っていたと思います。つまり、球を投げる時に指の引っ掛かりをうまく使い速い球が投げれても、回転が多く掛かっている球は、いくら速くてもバットに当たればよく飛んでしまうので軽い球と言うようです。それに対して、指の掛かりをそんなに使わないで投げる球は、回転が少ないのでバットに当たってもそんなに飛ばないことから、重い球といわれているようです。

★という事は、キャッチャーが受けた時や変化球では、重い球とか軽い球という概念はないのでしょうか・・・・。(山川)

【30代男性Mさん】

私の経験では,体重の多い少ないよりも,ボールの回転で重かったり,軽かったりを感じます。球速が同じように感じる場合,きれいな回転のボールというのは,打ったとき軽く,変な回転や,回転の少ないボールは重く感じられます。

この,「球速が同じように感じる」と言うところがみそだと思います。回転の悪い球というのは回転の良い球よりも,球速が落ちる度合い,球の落下する度合いが大きくピッチャーの手から放れたときのエネルギーが同じであればそれだけ遅い球に感じると思います。故に,球速が同じように感じる場合,回転の少ない球や,回転の悪い球の方がより多くのエネルギーを持った球であると言えると思います。

この,球速が同じと感じるの「感じる」がくせ者で,ピッチャーのボールというのは,手から放れればどんどん速度は落ちますし,ボール自体も山なりに落下していますが,早いボールと対峙した場合,バッター自体は球が伸びていたり,球が加速している様に感じます。

これは,各バッターの経験から,このくらいの所に来るという標準値がインプットされていて,その標準値よりも,早かったり,落下度合いが少なかったりした場合「早い」とか「伸びる」と感じるわけです。故に,号外の「球が伸びている」という解説者の弁も,バッターからすればまったく同じ感覚なのです。

球の重い軽いも,実際の重さではなく,バッターが想定しているミート時の衝撃に対し,実際の感触が重かったり,軽かったりしているのです。また,ジャストミートした時というのは,ほとんど衝撃を感じませんが,回転の良い球というのは,悪い球よりも上に上がりやすい為,遠くまで飛んでいきます。この場合も,軽い球だと言います。

全ては,経験値から来ている言葉で,実際に重く感じる球は,終速が早かったりしていると思われます。

体重のある方というのは,自分自身の持っているエネルギーが多いためそれだけボールにエネルギーを移すことが可能です。体重のない方は,持っているエネルギーが少ないので,球の回転をきれいにする,スナップを利かす,腕をしなやかに振る,重心移動を早くスムースにするなどテクニックで球速を上げなければなりません。故に,体重の多い方の方が重い球を投げると感じるのだと思います。いわゆる,体重が乗った重い球と言うやつです。

話は変わりますが,ゴルフの場合も軽い球と重い球があります。ナイスショットは風に弱く(軽い球),ほんの少しミスショットの方が風に強い(重い)球になります。これも,球の回転が良いものより,ちょっと棒球気味の方が吹け上がりが押さえられるため風に強い球になるのだと思います。

★スピンの効いた伸びのある速球は、球が軽いという事なのですね。佐々木のフォークボールは重いのでしょうね。(山川)

【男性Yさん】

さて,野球のピッチャーの「軽い玉」と「重い玉」なのですが,おそらくは,バッターが打ったときの感触を表現したモノです。

速球派と呼ばれるピッチャーは,単純にスピードガンで測定されるスピードではなく,ピッチャーの手から放れたときの「初速」とキャッチャーのミットに納まるまでの「終速」の差が少ないことがポイントになります。

この段階では,ゴルフでの打ち出し速度と同様に,より縦回転の速いボールの方が,減速の少ない,いわゆる,伸びのある球ということになります。ピッチャーが投げた球も,当然重力の影響を受けるので,キャッチャーに届くまでの間は「自然落下」をしているのですが,縦回転の強いボールは,その落ち方が少なくなります。

バッターは,ピッチャーが投げてから,コンマ1秒の世界で打つ必要がありますから,その球筋を予測してバットを振ります。で,一般的な予測でスイングを行うと,伸びのある球は,予測よりも高い位置を通ってしまうので,空振り,フライの確率が高くなるわけです。

その一方で,回転するモノが,他の物体にぶつかった場合,その回転は逆回転に変わってしまいます。ギア効果と同じ理屈になるのですが,昔懐かしいスーパーボールで遊んだ記憶があれば,納得していただけることと思います。

つまり,伸びのあるピッチャーのボールほど,ボールほど,バットとボールが出会った場合,バットの芯に当たった感触は少なくても,強い縦回転のかかった,良く飛ぶボールとなってしまいます。これを称して,「軽い球」といいます。逆に,回転が少ないボールが,「重い球」と呼ばれます。

決して体重は関係なく,江川投手や桑田投手の一発病こそ,この伸びのある「軽い球」である速球派の宿命ということになります。

★ストレートと逆回転のドロップやカーブなどは、逆に言えば飛ばないという事になるのでしょうか。(山川)


←前のメルマガを見る 次のメルマガを見る→

******************************************************************
※本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※本メールマガジンの内容によって読者がいかなる損害を受けた場合も当方
では一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
******************************************************************

>