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■ピッチングも理論?■(号外)

号外Vol.03 1999.07.27発行

今年のオールスターは松坂、上原両新人の先発で盛り上がっていますが、ベイスターズ佐々木投手は肘に不安があり、どうも全力での投球とは行 かないようですね。今回の号外は、ゴルフの弾道とピッチャーの投げるボールの曲がりの違いについて考えて見たいと思います。

●ゴルフにおける「曲がるボール」の呼び方

ゴルフの世界では、右利きの場合、右に曲がる弾道については、スライスとフェード、左に曲がるのがフックとドローという、それぞれ2種類 の呼び方があるようです。スライス(フック)とフェード(ドロー)の違いは、もちろんその曲がりの程度に応じて、ひどく曲がるのが、スライス(フック)であり、わずかに曲がるのがフェード(ドロー)という様に使い分けているのですが、ドローは良い、フックは悪いという見方もできるかもしれません。いずれにしても厳密な区別はありません。

上下方向の変化については、「プロの様に伸びるボール」とか、「かっくんと落ちるボール」とかは言いますが、あまり対応する言葉はないように思います。強いて言えば落ちながらフックするのが「チーピンボール」でしょうか。

●野球における「曲がるボール」の呼び方

ピッチャーが投げるボールの種類を明確に定義できる方はいらっしゃるでしょうか。ストレート、カーブ、シュート、スライダー、シンカー、フォーク、ドロップ、ナックル、パーム、スクリュー、チェンジアップ。少し考えただけでも、このくらいは出てきますが、どんな球筋、どんな回転なのかをイメージできますでしょうか。

ゴルフは左右の変化にそれぞれ2種類の呼び方があるのに対し、野球では上下の変化が加わるので、呼び方が多いということも言えます。しかしそれだけでしょうか。

前回の号外Vol.02では1メートル飛んだ後のボールは、

  • (1)ボールの向いている方向とそのスピード
  • (2)ボールの回転する方向とその回転数(自転のようなもの)

のみで規定されるというお話をしました。

野球の場合はどうでしょうか。ピッチャーが投げたあと1メートル経過したボールはやはり同様に規定されるべきです。唯一、ゴルフとの違いはボールの均質性です。縫い目があるという特殊な構造上、重量配分がゴルフボールの様に均質でないという事と、糸などによるデコボコが、空気抵抗によって微妙に変化するという事があります。

爪を立てて投げる「ナックル」などは、まさにこの縫い目が球場の空気の流れによって影響され、予想もできないフラフラとしたボールになると言われています。(私は実際この様なボールを見たことがないので、本当にそうなのかは分かりませんが・・・・。)

●野球の球種とゴルフの弾道の違い

「ナックル」の様なボールを考えなければ、野球でも上記2つの条件でどんな球種なのかは決まるはずです。ところが、野球の世界ではどうも「ボールがどいういう動きをしたか」によって球種を決めるのではないと思われる節があります。たとえば、野球の解説者は「今のボールはフォークが落ちなかったのでしょう」とか「フォークのすっぽ抜けでしょう」とか言います。落ちないフォークボールは、ただの直球ではないかと思うのですが、なぜかこれも「フォークボール」と言うようです。

野球の世界では、どういう球筋かという事ではなく、どういう握りでどういう投げ方をしたのかによって、ボールの球種を決めるようです。フ ォークの握りで投げれば、結果としてどんな球でもフォークなのです。(ラジオのアナウンサーがピッチャーが投げた瞬間に「第一球投げました!カーブ、ストライク!!」と球種を言い当てるのには驚きます。)

それに対し、ゴルフの世界では、結果としての球筋だけで弾道に名前をつけています。決して、今のボールはギア効果フックだとか、アウトサイドイン軌道ボールとは言いません。

もし、打った後に弾道を見て、今のはこういう打ち方(野球で言えば握りや腕の振り方)で打ったから、こういうボールだという名前があった ら、もっとゴルフの科学が進歩していたのではないかと思います。多くの人は、ミスショットの後、自分がミスした原因をイメージできていないと思います。上級者は打った感触でヘッドのどこにどのように当たったという事が分かります。また人が打ったボールでもその打球音と球筋を見ればだいたいの打点が分かるものです。

ゴルフは「結果としての弾道でのみ曲がるボールの呼び方が決まる」という事が、スライスやフックの理屈を理解する事をはばみ、かつなかなか直らないという非常に重要な問題を引き起こしているのではないか、とも思っています。

もしゴルフにも野球中継の様に「第一打ドライバー打ちました!クラブの先に当たったフックボールOB!!」などというラジオ中継でもあれば、だいぶ事情が変わったかもしれません。

●次回の号外は・・・・。

次回の号外では、ボールのスピンに関連しフォークボールを取り上げて見たいと思います。


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